★★★☆☆ 中国のSF超大作「流転の地球」あらすじと感想

流転の地球アイキャッチ
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2019年に公開され、中国で爆発的ヒットとなったSF映画「流転の地球(原題:流浪地球)」のあらすじと感想をご紹介します。

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作品情報

日本では劇場公開されず、Netflix独占配信となっています。

製作2019年
監督フラント・グォ
時間2時間5分
評価Filmarks:3.4/5点

 

「流転の地球」とは

「流転の地球」は、中国のSF小説家・劉 慈欣(リュウ・ジキン)氏の短編小説『流浪地球』を原作とした映画です。

「地球を移動させる」という設定以外は、登場人物を含め映画オリジナルのストーリーです。

原作者について


劉 慈欣氏は、小説『三体』で2015年にアジア人作家として史上初めてSF小説界最大の賞である「ヒューゴー賞」を受賞しています。

この小説『三体』は元アメリカ大統領のオバマ氏や、FacebookのCEOであるザッカーバーグ氏おすすめの本ということでも有名になりました。

物理学者の父を文化大革命で惨殺され、人類に絶望した中国人エリート科学者・葉文潔(イエ・ウェンジエ)。失意の日々を過ごす彼女は、ある日、巨大パラボラアンテナを備える謎めいた軍事基地にスカウトされる。そこでは、人類の運命を左右するかもしれないプロジェクトが、極秘裏に進行していた。数十年後。ナノテク素材の研究者・汪森(ワン・ミャオ)は、ある会議に招集され、世界的な科学者が次々に自殺している事実を告げられる。その陰に見え隠れする学術団体“科学フロンティア”への潜入を引き受けた彼を、科学的にありえない怪現象“ゴースト・カウントダウン”が襲う。そして汪森が入り込む、三つの太陽を持つ異星を舞台にしたVRゲーム『三体』の驚くべき真実とは?(「BOOK」データベースより)

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あらすじ


未曽有の自然災害が頻発する近未来。
研究者達は、太陽が老化し、300年後に太陽系そのものが消滅するという結論に達する。この事態を受け、各国は連合政府を設立し、2500年かけて地球ごと太陽系から脱出する「流転地球計画」を立てる。
太陽系脱出のための動力となる「地球エンジン」1万基が建設される中、宇宙飛行士のリウ・ペイチアンは、国際宇宙ステーションへ旅立つ。

17年後、自転の止まった地球では巨大な津波が発生し人口が半減。激しい環境変化のため地上に住むことが出来なくなり、生き残った人類は地下都市で暮らしている。
青年となったチーは、妹のドゥオドゥオを連れてマイナス80度の地上に向かうが、大規模な地震に見舞われる。チーは、祖父らと共に避難所を目指す途中、地震によって停止した地球エンジン再起動のミッションを遂行する部隊に緊急徴用される。

登場人物

登場人物が多めなのであらかじめ頭に入れてから鑑賞することをおすすめします。

リウ・チー(あだ名:フーコウ)
主人公。見習い整備工。病気の母親を見捨てた父ペイチアンを許していない。


ハン・ドゥオドゥオ
14歳。赤ん坊の頃、津波被害に遭ったところをチーの祖父に助けられ養女に。チーとは兄妹のように育つ。


リウ・ペイチアン
チーの父。
地球を安全に移動させるためのナビゲートを行う国際宇宙ステーションで働く。17年の任期を終え、地球に帰還予定。

ハン・ズーアン
チーの母方の祖父。地球エンジンに燃料を運搬する上級運転士。


ティム
オーストリア人と中国人のハーフの青年。チー達と留置場で知り合う。

マカロフ
ロシア人宇宙飛行士。ペイチアンの同僚。

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感想

映像の美しさ


何といっても映像が美しいです。
しっかりとお金をかけられた美しい映像だけでもこの映画を見る価値があります。
製作費は約5000万ドル(約55億円)です。「シン・ゴジラ」の製作費13億円と比較するとそのスケールの違いがお分かりいただけるでしょうか。


映像の美しさと言えばここ数年ではクリストファー・ノーラン監督の「インターステラー」の洗練されたスタイリッシュな映像が印象的ですが、「流転の地球」は「アルマゲドン」や「デイアフタートゥモロー」の路線を継承する迫力満点の映像が魅力です。


アジアを感じさせる地下都市、真っ白に凍り付いた地上世界、アナログな雰囲気の国際宇宙ステーション、『トランスフォーマー』ばりのカーゴ車両、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』を彷彿とさせるパワードスーツなど、どこを取っても完成度の高いヴィジュアルに大満足です。

VFXを駆使した映像と毛筆の漢字の組み合わせも新鮮でかっこいいです。これは中国映画ならではですね。

また、父親ペイチアンがいる宇宙ステーション側では『ゼロ・グラビティ』のような宇宙空間での船外活動の映像も楽しむことが出来ます。

王道ストーリー


「流転の地球」は地球ごと太陽系を脱出するという今までにない大胆な設定です。
「インターステラー」は地球を捨てて人間が住める新しい星を探しに行くという設定でしたから真逆の発想ですね。


宇宙ステーション(父)と地上(息子)が、それぞれ地球滅亡の危機に立ち向かう様が交互に展開します。

・宇宙ステーション側:ヘリオス計画に移行しようと暴走するAI・MOSSと闘う
・地球側:救援ミッション(=地球エンジン再始動)のため奔走

ツッコミどころも多少ありますが、次から次とピンチに見舞われ、怒涛の展開で畳みかけてくるのであまり気にならなくなってきます。

涙を流すような場面も何度かあるのですが、感傷に浸る間もなくどんどんストーリーが進みます。

家族愛がテーマ

作中、老いも若きも口を揃えて「家に帰りたい」と言っていたのが印象に残りました。
ハリウッド映画や邦画では出てこない台詞なので、国民性かなと感じました。

アメリカ人が出てこない

「国際宇宙ステーション」と言いつつ、同僚はロシア人でアメリカ人は一切出てこないところが中国らしいなと感じました。

(日本人は地球側のシーンで数秒だけ登場します。)





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まとめ

これまで、SF映画と言えばハリウッド一択でしたが、これからは中国という選択肢が増えそうです。

見応えのある映像と王道のストーリー展開で、家族で観るのにもおすすめの映画です。