映画「アナイアレイション -全滅領域-」は、生物学者である主人公(ナタリー・ポートマン)が、隕石の落下により変容した未知の領域を調査する、というSF映画です。
本記事では、あらすじ、観た人の評価や続編の映画化についてご紹介します。
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アナイアレイション-全滅領域-とは
『アナイアレイション 全滅領域』は、米国人作家ジェフ・ヴァンダミア氏のSF小説サザーン・リーチ三部作(『全滅領域』『監視機構』『世界受容』)のうち、一作目にあたる『全滅領域』を原作とする映画です。
日本では劇場公開されず、NETFLIXで独占配信されています。
作品情報
製作 | 2017年 |
監督 | アレックス・ガーラント |
時間 | 1時間55分 |
評価 | Filmarks:3.4/5点 Yahoo映画:2.86/5点 映画.com:3.2/5点 |
あらすじ
生物学者のレナ(ナタリー・ポートマン)の元に、軍の任務中に消息が途絶え一年も消息不明だった夫が現れる。夫は何も覚えておらず、気がつくと部屋の外にいたという、
二人は軍によって、研究施設サザーン・リーチに連れ去られる。そこで目にしたのは、虹色のシャボン玉のような光に包まれた空間 "シマー" だった。
シマーは宇宙からの飛来物の落下箇所を中心に発生した未知の領域で、内部へはドローンや調査団が何度も派遣されたが、これまでに生きて戻ったのはレナの夫だけだという。
レナは、昏睡状態にある夫の治療方法を探るためにシマーへ足を踏み入れる…。
登場人物(キャスト)
レナ(ナタリー・ポートマン)
生物学者(専門は細胞周期に関する遺伝プログラム)
夫への “借り“ を返すため、シマーの調査団に志願する。
ドクター・ヴェントレス(ジェニファー・ジェイソン・リー)
調査団のリーダー
心理学者としてシマーへの調査団への志願者を審査し、選んできた。
キャス・シェパード(ツヴァ・ノヴォトニー)
地形学者
サザーン・リーチ発足当初からシマーの境界付近の磁場を調査
娘を白血病で亡くしている
アニャ・ソレンセン(ジーナ・ロドリゲス)
救急医療隊員
ジョシー・ラデック(テッサ・トンプソン)
物理学者
ケイン(オスカー・アイザック)
レナの夫
軍人でシマーからの唯一の生還者
ロマックス(ベネディクト・ウォン)
冒頭とラストでレナにシマー内の出来事を聴取する人物
評価
以下は作品のネタバレになるような内容を含む感想、解説を書いていますので未鑑賞の方はお気を付けください。
海外での評価
英語圏最大手の映画評価サイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、批評家支持率87%、平均点は10点満点中7.6点と、「TENET」の6.9点と比較するとその評価の高さがわかります。
日本での評価
主要なクチコミサイトの点数は以下の通りです。
Filmarks:3.4点、Yahoo映画:2.86点、映画.com3.2点
日本での評価は高いとは言えませんが、意見を細かくみていくと高評価と低評価に二分されていることが分かりました。
低評価のコメント
・観る側が理解できるように説明すべき
・納得感とエンタメ要素が薄い
・防護服なしで未知の領域に入るなど、ツッコミどころが多い
高評価のコメント
・色んな考え方ができる、ラストを明確にしないところが良い
・映像が綺麗、世界観が独特
感想
面白かったー!こういう、鑑賞後に色々な考察が出来る作品が好きです。
観る度に新しい発見があって『TENET』や『メッセージ』のような哲学的なSF映画が好きな人はめちゃくちゃハマる作品じゃないでしょうか。
『TENET』が量子力学、『メッセージ』が言語学をベースにした作品だとすると、『アナイアレイション』は生物学をベースにした作品です。
映画のストーリーの大半は、未知の領域シマー内の探索です。
少しずつですが、シマーのことがわかっていく過程はミステリーのようで、先を見ずにはいられなくなる構成でした。
隊員が一人、また一人と減っていく中、最後はレナ一人で灯台へ。そこに何があるのか、シマーの真相とは…。
Shimmer(シマー)とは
「Shimmer」は英語で「きらめき」や「揺らめき」を意味する言葉で、虹色の光に包まれた未知の領域をそのまま表現した呼称です。
シマーが実際どのような領域であるのかは、中盤で物理学者のジョシーがこのように言っています。
「シマーの中では電波や遺伝子を含むあらゆる情報がプリズム効果で屈折され、それが一連の生物の変異や通信妨害などに影響している。」
作中、何度か登場する「水の入ったグラス」もこの“屈折“を暗示するものと考えられそうです。
訳アリの調査団メンバー
調査団のメンバーは全員が「自己破壊」の傾向にありました。
レナは不倫、アニャは依存症、キャスは娘を亡くしていること、ジョシーはリストカット、そしてDr.ヴェントレスは末期がんであったことが最後に明かされます。
クリーチャー
サメの歯を持つワニ、頭蓋骨が剝き出しのクマ、同じ株から咲いてる異なる種の花、角に花を生やした鹿、人型の植物…。
シマー内には遺伝子の常識を超えた生物が溢れており、発生源である灯台に近づくほどその影響は強いようです。
ラストシーン
ケインと抱き合ったレナの瞳はシマーと同じ輝きをもっています。
続編について
原作の小説は三部作ですが、続編となる『監視機構』『世界受容』は映画化されておらず、製作予定もないようです(2021年7月時点)。
原作もおすすめ
原作のサザーン・リーチ三部作は日本語訳版が出版されています。
映画の製作時点では原作が1作めしか刊行されていなかったということもあり、映画と原作はほぼ別物なので映画の続きとして読むには適切ではありません。
しかし、異色のSF小説として純粋に面白いので、興味がある方は読んでみてください。
まとめ
映画「アナイアレイション -全滅領域-」は、意味深なラストシーンが余韻を残し、鑑賞後にその意味について考察したくなる作品です。
大衆向け作品とは言えませんが、観る度に新しい発見があり、『TENET』や『メッセージ』のような哲学的なSF映画が好きな人にはとてもおすすめの作品です。